第42回SWO研究会プログラム

テーマ:「情報大洪水時代のデータ連携とセマンティクス」および一般

日時:2017年9月4日(月) 13:00-18:15

会場:国立情報学研究所 19階会議室 (東京都千代田区一ツ橋2-1-2)

主催:人工知能学会 セマンティックウェブとオントロジー(SWO)研究会

参加費:無料

開催趣旨

IoT/CPSの進展によりモノのデジタル化が急速に進み,これに伴う爆発的なデータ流通量の増大等を背景に,多くの企業・組織において,部門を横断したデータの共有や連携の重要性が認識されています.

異なるシステム間でデータをやりとりできるようにするには,システム間で交換するデータの意味を相互に理解可能となるよう,共通の概念モデルやセマンティクスが重要になります.

しかし,組織や部門毎に個別最適化されたシステムでは,データ間の不整合や不一致が生じてしまい,組織間や部門間の垣根を越えた業務活動や分析でのデータ活用が進まず,依然としてデータのサイロ化が課題となっています.

今回の研究会では,システム間のデータ連携,及び関連技術に関する課題と展望について議論を行うことを目的に,「情報大洪水時代のデータ連携とセマンティクス」を特集テーマとし,セマンティックウェブとオントロジーに関する一般テーマと合わせて,開催いたします.

スケジュール概要

13:00-13:05 オープニング

13:05-14:40 企画セッション

14:40-14:50 休憩

14:50-16:20 研究発表セッション

16:20-16:30 休憩

16:30-18:10 研究発表セッション

18:10-18:15 クロージング

企画セッション

様々な分野の第一線で活躍されている3名の方から,データ連携の重要性や推進の難しさについてご講演いただき,全体討論にて参加者の皆様と議論を深める予定です.

13:05-13:10 企画趣旨

13:10-13:35 招待講演1:BIMによる建築・インフラ分野のデジタライゼーションの可能性

一般社団法人 buildingSMART Japan

技術統合委員会委員長

足達 嘉信 氏

BIM(Building Information Modeling)とは,建物・道路・橋梁・トンネルなどインフラ構造物を3次元情報モデルとしてデジタルツイン化し,データベースのようにライフサイクル全般で活用していく手法である.BIMにおける3次元情報モデルはIFC(Industry Foundation Classes)として国際標準化され,様々なアプリケーション間連携の共通言語として活用範囲を広げている.IFCの標準化,実務における活用までのアプローチ,新領域との連携の可能性などについて紹介する.

講演資料(2017/09/08公開)

13:35-14:00 招待講演2:標準ドメイン・オントロジーの構築と産業界向けの活用について

IEC/SC 3D 国際議長

株式会社東芝 主任研究員

山下 蘭 氏

繋がるIoT社会において,異種類システム,機器間のデータ連携が必要になる.データ連携を機械的に実現するため,ドメイン・オントロジーを利用するアプローチがあり,本発表では,国際標準のドメイン・オントロジー技術,及び複数産業分野においてのデータ連携活用について紹介し,国際標準化団体,及びメーカーの立場から,推進するための課題と国際標準化の難しさについて議論する.

講演資料(2017/09/07公開)

14:00-14:25 招待講演3:データサイエンティストからみた統合されたデータ分析基盤の恩恵

Cloudera

Field Data Scientist

有賀 康顕 氏

昨今の機械学習の流行から,多くの企業がデータを活用しビジネスに活かしていくという取り組みを加速させています.本セッションでは,企業でデータを活用していく上で重要な,統合されたデータ分析基盤の恩恵と,分析環境のサイロ化をどのように防いでいくか,Clouderaの取り組みをご紹介します.

講演資料(2017/09/07公開)

14:25-14:40 全体討論

研究発表セッション

14:50-15:15 SIG-SWO-042-01 (25分)

データとサービスの相互利用を実現するデータ連携基盤

◯後藤孝行(九州大学共進化社会システム創成拠点)

ユーザ主導のスマートシティに向けて,Web of Thingsによるプラットフォーム連携を実現するデータ連携基盤を提案する.データ連携基盤は,サーバント機能とデータフロプログラミングによってアーキテクチャを構成して,データとサービスの相互運用とデータ処理支援を行う.本稿では,このコンセプトに基づき試作したデータ連携基盤Cirlce Coreを紹介する.

発表資料

15:15-15:40 SIG-SWO-042-02 (25分)

LODとセマンティック技術を用いたデータ連携の枠組みと課題の考察

◯細見格(NEC セキュリティ研究所)

政府・自治体のオープンデータ推進活動や有志団体によるLODチャレンジなどを通じて,国内のLinked Open Data(LOD)は継続的に普及・活用が進んでいる.しかし,現状ではLODの構築,蓄積,利用に関する活動とデータの多くが互いに独立している.LODは,データ同士を意味的に関係付けたリンクが価値を生む.そのために,各活動全体の枠組みを検討し,その実現における課題を考察した.関連事例として,様々な情報を統合利用するパブリックセーフティの研究プロジェクトで取り組んだデータ連携に関する課題を挙げ,セマンティック技術を用いた解決のアプローチについて,業界動向と共に述べる.

発表資料(2017/8/31公開)

15:40-15:55 SIG-SWO-042-03 (15分)

システム間データ連携におけるセマンティック層の活用

◯山中遼太(日本オラクル株式会社)

複数のシステム間のデータ連携は従来からデータウェアハウスを用いて実現されている一方,データ統合されたセマンティクス層はどのようなデータ変換で構築され,従来のデータストアと併存するかを議論する.

発表資料(2017/8/31公開)

15:55-16:20 SIG-SWO-042-04 (25分)

RDFデータに対するグラフパターンマイニング

◯廣橋美紀,兼岩憲(電気通信大学大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻)

セマンティックWebにおけるリンクトデータの広がりにより,その膨大なRDFデータから有益な知識を発見する技術が重要となっている.本研究では,多様な意味的関係を含むRDFのグラフ構造から述語パスと目的語の頻出パターンをマイニングする方法を提案する.

発表資料(2017/8/31公開)

16:20-16:30 休憩

16:30-16:55 SIG-SWO-042-05 (25分)

RDFグラフに対するキーワード検索の高速化と省メモリ化

◯浜松良樹,兼岩憲(電気通信大学大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻)

リンクトデータの増加にともない,大規模なRDFデータを効率よく検索する方法が求められる.しかし,RDFデータからSPARQLでリソース情報を適切に検索するためには,データセットの内容やクエリの文法に精通している必要がある.本研究では,大規模RDFグラフに対する高速かつ省メモリなキーワード検索を提案する.

発表資料(2017/8/31公開)

16:55-17:20 SIG-SWO-042-06 (25分)

関手的データモデルにおける情報単調性

◯水野隆文(名城大学 都市情報学部)

関手的データモデルにおいては,データベースはスキーマ圏からSetsへの関手,データ操作は自然変換として表現される.この,有向グラフそのものをデータベースとして表現できる抽象度の高いモデルにおける情報単調整を考察する.

発表資料(2017/8/31公開)

17:20-17:45 SIG-SWO-042-07 (25分)

文章自動生成に向けた非構造データの活用の一考察

◯太田博三(放送大学 教養学部)

最近の深層学習の発展は目覚しく,画像処理の分野から,音声認識,そして自然言語処理の分野まで浸透し発展している.本考察では,文章生成を実施するにあたり,まず次の3つの主な手法を取り上げた.1)マ ルコフ連鎖,2)自動要約,3)ディープラーニング(RNN/LSTM/ GAN)による文章生成である.課題として,文と文とのつながりが不自然であることが共通して見受けられた.実務でも通用する自然な文と文とのつながりを上記の3つの手法で試し,その対応策を考察した.

発表資料(2017/8/31公開)

17:45-18:10 SIG-SWO-042-08 (25分)

国際会議ESWC2017参加報告

◯小柳佑介(株式会社富士通研究所),橋本一成(富士ゼロックス株式会社 研究技術開発本部)

本稿では,2017年5月28日から6月1日にかけてスロベニアのPortorozにて開催されたESWC2017を報告する.本会議と,我々が参加した併設ワークショップである,LDQ,Sem-Deepに関して,全体の概要と,幾つかの発表を紹介する.

発表資料(2017/8/31公開)