設立趣旨

セマンティックウェブは,これまで培われてきた人工知能の研究成果を活かす新しい世界を提供すると考えられます。また,既に活発に研究開発が行われているe-Business,e-Learningやナレッジマネジメントの知性化がその代表的なアプリケーションとなると期待されています。さらに,ウェブ サービスの知性化による応用範囲は,簡単な問い合わせの知的処理から大規模な分散問題解決まで止まるところを知りません。マルチエージェントでの協調的情報エージェントやディジタルシティーなどの研究においてもセマンティックウェブ技術は不可欠となると考えられます。

セマンティックウェブの知的要素機能を本質的に支えるのがオントロジーであり,それは異種の知識源の相互運用性を保証する役割を担います.更にオントロジーに基づいて定義された意味タグは,Semantic Annotation Computingという新しい知識処理のパラダイムを創出しつつあります。

そしてセマンティックウェブに必要な全ての計算メカニズムを支える言語体系を構築するという課題もありま す。Tim Berners-Leeによって提案された,XMLを基礎にする階層モデルに現れる多様な言語の体系化は言語の意味論から効率的なインプリメントまでの広範囲の研究課題を提供しています.同時に、言語やビジョン等の知覚データと形式的意味記述を体系的に結び付けることによって人間と人工物との間で意味を共有し、不完全なオントロジーを補完するとともにオントロジー構築の基盤を確立するという課題もあります。

このようにセマンティックウェブを実現する道程には多くの興味深い研究課題が横たわっています,当研究会で はそのような課題を対象として,参加者の研究活動に寄与するような研究交流の場の形成を目指して設立されました。